《Asu》デザイナーだけではない。ジョナサン・アイブのメッセージを心にとめておこう

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BBCのテレビ番組に出演した、Appleのデザイン担当上級副社長:ジョナサン・アイブの、印象に残る発言があります。

「子供たちに出した課題は、バックパックとランチボックスと鉛筆入れが一緒になったかばんを考えてみようというものです。さて、あなたならどう取り組みますか?」

ジョニーは次のように答えました。

“If we’re thinking about a lunchbox, we’d be really careful about not having the word box already, to give you a bunch of ideas that could be quite narrow,”

“Because you think of a box as being square and like a cube. So we’re quite careful with the words that you use, because those can be narrow and can determine the path that you go down.”

「まず、ボックスいう言葉を使わないことです。ボックスと言ったとたんに、四角とか立方体とか箱型のアイデアばかり出てきて、想像力が狭まってしまいますからね。僕たちはいつも、どんな言葉を使うのかにとても気をつけているのです。言葉は、これから歩むべき道を定めてしまいますから」

▽こちらに解説があります(英文)
http://qz.com/55298/apples-jonathan-ive-talks-design-on-a-beloved-kids-show/

 

発想の枠を縛られない考え方

既存の製品、既存の枠組みの中で作られたイメージ、そしてそれを象徴しているのが名称。名前、というものは『概念』をある入れ物に入れてタイトルをつけたようなものです。

私たちはこの世の中にあるモノゴトに、名前をつけることで、他のものとの境界を定め、それを定義します。そしてその名前を使うことで、他の人と同じ概念を共有することが可能になります。

逆にいえば、ある名前をイメージすることは、多くの人が持っているそのモノゴトに対してのイメージの枠の中にとらわれるということにもなります。ジョナサン・アイブのエピソードでは、ランチボックスの『ボックス』という言葉を使うことで、既存の商品、この場合はランチを入れる『箱型』の容器、のイメージが強く働いてしまい、その枠組みを超える発想を生み出しにくくさせてしまうということを話しています。

最初にボックスという言葉を使ってしまうと、その次の発想は『じゃぁ、どんな箱にする?四角形ではない箱にしたら?』というふうに、発想の出発点がすでに『箱』という制約を受けてしまいます。

発想の縛りをなるべく無くし、シンプルな機能、を出発点とすることで、アイデアの生まれる方向性を常に広い範囲に向けて開くようにすること。これが想像力を発揮するのに不可欠なことだと思います。これがジョニーの伝えたかったことであり、それはデザイナーだけではなく、どのような仕事についている人にとっても大切なことだと思います。

 

自分について考えてみると

私たちの仕事や日常の中でも、このメッセージを重く受け止めて、考え方を改善する必要があります。

たとえば、ある企画を考えるとき、発注者のオーダーに使われている言葉は、あくまで既存の枠組みの中で考えられたものが多いと考えるべきです。新しいアイデアを考える時には、いったんこれを分解し、本質的な機能や、目的は何なのか?ということを今一度、ゼロベースで考え直してみる必要があるのではないでしょうか。

 

そういえば、名前で思い出したことがあります。

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呪術で戦う相手に自分の本当の名前を知られたら、簡単に術をかけられてしまうという、夢枕獏の陰陽師のエピソードがあります。古代日本では、名前というものはその人の魂そのものあり、名前を知られるということは魂をコントロールするということになるので、普通してはいけないこととされていました。

しかし、呼び名がないと日常生活で困りますから、本名である諱(いみな)の他に、字(あざな)という通称名で生活していました。だから、本名を知られるということは、その魂をコントロールされてしまうので、呪術にもかけられてしまう、ということになるわけです。

名前を奪うということでその人間を取り込んでしまう、という話は、千と千尋の神隠し でもありましたね。
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おっと、話がそれてしまいましたね。
日々の仕事や生活をルーチンワークにうもれさせないために、そしてクリエイティブな発想を持ち続けるために、ジョナサン・アイブの言葉を心に留めておきたいものです。

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