《Asu》書評 美崎栄一郎 「仕事はできるのに、机がぐちゃぐちゃで困ってるきみへ」は、まさにヒトゴトではなかった
美崎栄一郎さんの 「仕事はできるのに、机がぐちゃぐちゃで困ってるきみへ」(アスコム)を読みました。
単なる机整理本ではなかった
まずタイトルがなんとも、ヒトゴトではありません
まさにこれはワタシのために書いてくれたような本か!と思いつつ、でも美崎さんだからもっとヒネリがあるんだろうな・・・と、目を通していきます。
読めば読むほど、この本は単なる○○整理術、のような机整理本ではないことがわかりました。
この本の目標をヒトコトで言うと、『机を秘密基地にすることで、同僚や上司とのコミュニケーションもうまくしつつ、イイ仕事をゲットし、成果をあげる』ということだと思います。
主人公は三崎クン
舞台は月光堂株式会社。念願かなって地方の工場の品質管理部門から本社に異動してきた、三崎クンが主人公です。彼の職場にはさまざまな個性をもったキャラクターがいます。出来杉、ナダレ、コソドロ、依存ちゃん、新人、ボス・・・ このニックネームを聞くだけで読みたくなってきます。
これは帯に書かれた、秘密基地の説明です。
机まわりを5つのセクターに分けて、それをどのように活用していくかが、ストーリー仕立てで展開していきます。
目次から、気になるところをピックアップしてみましょう。
Mission 0 机を基地化せよ!
- Mission 1 机を5つのセクターに分けよ!
- Mission 2 渋滞を解消せよ!
- Mission 3 書類を整理せよ!
- Mission 4 デスクトップを整理せよ!
- Mission 5 基地から出る準備をせよ!
- Mission 6 偽装せよ!
- Mission 7 相手の基地によってパスの出し方を変えよ!
上の写真にあるように、まず机を5つのゾーンに分けています。
これらをうまく活用して、いろいろな目的を達成したり、うまく周りをコントロールするためのアイデアがたくさん紹介されています。
一冊通して非常に役に立つ内容ですが、『これはすぐにやってみよう』と思った2つを紹介します。
スグヤル1: アグレッシブレーンに置かれた3つのレーンをうまく使う
机のモニターの右側のスペース:アグレッシブレーンには3つに仕切ることができる書類棚を置きます。
そして、その3つの仕切りの左側から、次の3つのレーンにわけます。
- アグレッシブレーン・・・もっとも使用頻度の高い書類
- はんこレーン・・・すぐやるための未処理書類
- リーディングレーン・・・緊急性は低いけど利用頻度はそれなりに高い資料など
ここで興味深かったのは、「書類は積み上げるのではなく、立てて並べる」ということ。ここに書類をクリアファイルに入れて並べるわけですが、カラーのファイルや、目立つデザインのクリアファイルでそれぞれ何の仕事の書類なのかが、わかるようにしておく。
この3つのレーンの中で、すぐにやってみたいと思ったのが、3のリーディングレーン。
ここには、今後自分が取り組みたい仕事や分野についての資料、あるいは知識を増やし、実力をつけるための資料や本を格納しておきます。
単純にこれだけでしたら、みなさんすでにやっていると思いますし、わたしも似たようなことをやっています。おもしろいアイデアだと思ったのは、つぎの2つ。
リーディングレーンの書類を、誰かが遅れそうな会議にはどれかを持参して、ちょっとした待ち時間などのスキマ時間を利用してスキルアップを図る。
スグヤル2: 机から発するイメージをコントロールする
これは、気づきませんでした。
他人は確実に、机の状態や机にあるものを見て、その主の性格や考え方、状況を感じとっています。(中略)
しかし、机の基地化はただの整理整頓ではありませんから、きれい好き、整頓ができているという印象を周囲に与えても、マイナスの評価こそないものの、大したプラスの効果もありません。
あくまで机は価値創造の場所であって、そこで仕事が効率化され、自分の能力が最大化されればいいのです。それなら、他人が自分の机を見たときに受ける印象を、自分の意のままにコントロールできないか。
いままで私たちは、マイナスの印象を与えないために机を整理整頓したり、自分の作業の効率を考えた配置の工夫をしていました。ここまでは普通に誰でも思いつくこと。
机は主である自分がいない時間も短くありません。その間にさまざまな目的で同僚たちがアクセスしてきて、机の状態やそこにあるものを見て、イメージをふくらませていることを、再度認識してほしいのです。
このプロセスを逆手にとり、より自分にとってスムーズに、希望した通りに物事が運ぶようなイメージを同僚たちに与えるため、「意図的に机から発信する情報を変化させる」という発想が、僕の言う偽装です。
偽装はいろいろな目的があって、次のような目的で机発のイメージコントロールのテクニックが紹介されています。
- どうしても今すぐ会社を出なければならないとき、穏便に済ませる偽装
- 今している仕事に飽きたらず、新しいテーマやジャンルに取り組みたいとき、声を上げずに意思を宣伝する偽装
- 同僚の好みを知り、決して押し付けがましくなく、しかし自分の意のままに動いてもらうための偽装
本の内容の紹介はここまでにしておきましょう。
興味を持った方はぜひ、書店で手にとってみていただきたいと思います。
人を動かすのは何?
この本を読んで感じたことは、「やはり物事を思い通りにしようとすれば、考え方や戦略のロジカルさではなく、人を動かすこと」なんだなぁ。。。ということ。
個別のテクニックは人それぞれの好みやスタイルがあると思いますが、この本で美崎さんが紹介しているテクニックの根底に流れているものは、やはり「人に働きかける」こと。仕事で結果を出したいと思った時、コンサルテクニックであるフレームワークやロジカルシンキングなどを勉強すれば、ビジネスがスキルが身につく、という考え方は間違いではないのかもしれません。ただ、そういう表面的なテクニックの奥底にある『本当の目的』『本当のターゲット』を、いつも忘れずにありたいと思いました。
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