《Asu》エネループの歴史をひもとく 〜デザインへのこだわり〜
先日のエントリー
《Asu》「パナソニック」か「エネループ」か ブランドのチカラ。なくなる前に買いに行っとこ
同じ事を思った人がたくさんいたみたいで、エネループ売り切れ店続出!エボルタ売れ残り店続出!だそうです。
某ホームセンター エネループ 売り切れ エボルタ 絶賛売れ残り ♪へ(^o^ヘ)(ノ^o^)ノ♪
— Today’s Somethingさん (@karenevil) 2013年3月3日
売り切れる前に確保ですね。
今回は、エネループのデザインについて、2011年11月1日に掲載された記事を紹介します。
大河原克行の「白物家電 業界展望」
三洋電機がみせるエネループのデザインへのこだわり
エネループシリーズのデザインを担当した、三洋電機 強化事業推進本部 eneloopユニバース事業推進グループデザイン部・水田一久担当部長によって、エネループのデザインの狙い、そこに込められた想いが語られています。
「エネループは、電池におけるデザインという点では、まさに”隙間”をついたもの。それに挑戦できるチャンスが私に巡ってきた」
エネループのデザインを手がけたきっかけに話が及ぶと、水田氏はこんな言葉でその背景を振り返った。
一般的の電池のテザインに共通しているのは「パワー訴求」や「容量訴求」。つまり、力強さを前面に打ち出したデザインが主流となっている。
「もしかしたら、白を基調とした電池のデザインを考えていたデザイナーがいたかもしれない。しかし、力強さを感じさせるデザインが、電池のデザインでは固定概念として定着しており、誰もそこに踏み出すことができなかった。それに対して、エネループは、従来の電池とは、技術、コンセプト、ターゲットが異なる。電池のデザインの固定概念を破るチャンスが来た」
エネループが発売当初から打ち出していたコンセプトは、“くり返し使える充電池”。使っては捨てるというそれまでの乾電池とは一線を画す、環境性の高さが最大の特徴だ。
繰り返して使用することで、ライフスタイルまで変えようというコンセプトは、これまでの乾電池の路線とは違う提案が必要。そこではむしろ、パワー訴求は不要だ。また、最初のターゲットも主婦層としており、その点でもパワー訴求は必要ないと考えられた。
白地をパール系としたのは高級感を演出するためのものであり、ここでも従来の使い捨て乾電池との差を示してみせた。
白をベースとしたデザインは、こうしたエネループならではの開発背景から生まれたものなのだ。
従来の乾電池が持つイメージとは、確かにぜんぜん違った印象を受けたことを覚えています。
そして、質感も別格です。
さらに白の質感を実現するために水田氏はこだわりをみせた。白地をパール系としたのもこだわりの1つだが、塗装そのものもこだわりをみせた。
例えば、一般的な乾電池では、表面の印刷は4版(4重に重ねて印刷すること)が主流だというが、エネループでは、銀地の表面に白を2回敷き、そのうえにブルー、オレンジ、黒、グレー、パールを加え、最後にニスで塗装する。実に「8版」の印刷を行なっているのだ。それぞれの版はコンマ数ミリという精度で重ならないように塗装されていく。
「手にとった時に、これまでの乾電池とは違うという印象をもってもらえるはず」という狙いがあった。
繰り返し使う → 長期間利用しても古くならない → 所有欲、満足感
一般的な乾電池はビニールで包装され、電池1つ1つを切り離すというものだが、水田氏は、再生ペットを使ってパッケージ化。青いグラデーションを使いながら、中身の電池は「うっすらと見える」程度にした。さらに、エネループの開発に携わっていた前田泰史氏から、購入後には保管ケースとしても使えるようなパッケージにして欲しいとの提案を受けて、工夫を凝らしていった。
(中略)
同社では、2年間の短期的な取り組みであったが、外部企業からのデザイン受託を行なっていたのだ。その際に水田氏は、シャンプーボトルのデザインを担当。ペット素材を使ったデザインを手がけていた。「エネループのデザインを手がける直前に、経験した事例があったからこそ、再生ペットを使用し、保管ケースとしても使えるパッケージのアイデアがすぐに浮かんだ」と振り返る。
(中略)
「外部企業へお邪魔し、デザインの提案をすると、『電気製品のようなデザインしかできないんじゃないの?』、『三洋電機のデザインは決していいとはいえないよ』という声を直接聞いた。なかには『三洋電機のデザインはダサい』とまで言われた。格好いいデザインをしたい。三洋電機のデサインはこれだけすぐれたものであるということを証明したい。そういう気持ちで取り組んだのがエネループだった」これまでの乾電池にはない色調やバッケージデザインは、そうした水田氏の想いが詰まったものだった。
私も最初、エネループのデザインを見た時、これまでのサンヨーの製品とは確かに違っていると想いました。
「普通の電池」 ・・・マンガン電池いろいろ
「アルカリ電池」・・・アルカリ電池いろいろ
「エネループ」 ・・・充電式乾電池を指しているが、エネループ=充電電池
という呼び名が、私たちの中では定着しています。
現状のパナソニックの動向から推察すると、エネループブランドは残したものの、何年かかけてエボルタブランドへ統合されていく、という予想が多くあります。パナソニックにとって、これが吉と出るのか、凶と出るのか。
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