《Asu》書評 遠藤功『「見える化」勉強法』 感じる、考える、そして伝える

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私の心の師匠の1人、遠藤功さんの著書 「見える化」勉強法 を紹介します。

遠藤功さんの経歴

1956年東京都生まれ。1979年に早稲田大学商学部を卒業後、三菱電機入社。同社の北米向けビジネスを担当中、企業派遣にて米国ボストンカレッジ経営大学院にてMBA取得。1988年に三菱電機を退社、その後ボストン・コンサルティング・グループ、アンダーセン・コンサルティング、ブーズ・アレン・ハミルトンなど米国系コンサルティングファーム各社勤務を経て、2000年にローランド・ベルガー日本法人へ代表取締役社長として参画、2006年より同社会長、2007年にはドイツ本社経営監査委員会のメンバーにアジア出身者として初めて選出される。また、2003年より早稲田大学アジア太平洋研究科にて教鞭を執り、2006年より早稲田大学ビジネススクール教授に就任し、2008年9月よりMBA/MOTプログラムディレクターとして同校の運営を担っている。(Wikipediaより)

遠藤さんは、『現場力を鍛える 』や『見える化』、『ねばちっこい経営』の現場力3部作などでビジネス書の著者として知られるだけではなく、講演やセミナーでも活躍しておられます。

Isao Endo 遠藤功 公式サイト

サブタイトルは、
「現場」から発想する思考術&トレーニング
となっており、「MBA」でも「難関資格」でもない、ビジネスリーダーが本当にやるべき「頭と身体の鍛錬」を紹介する内容となっています。

この中から、特に私が感銘を受けた内容を紹介したいと思います。

「論理思考」「仮説思考」偏重は危険

最近、さまざまな本やセミナーなどでもたくさん紹介され、ビジネス界全般で「コンサルタント的思考法」がもてはやされています。その代表的なものが「論理思考」「仮説思考」。

 論理思考を学ぶ勉強本が多数出版され、セミナーや講座も大人気です。「論理思考を身につければ、賢く、有能なビジネスマンになれる」と考えている人が多いようです。
しかし、これは明らかに危険な発想です。

一般に、戦略コンサルタントは「論理思考の権化」のように思われているようです。確かに、戦略コンサルタントにとって「ロジック」はとても大切ですし、私自身もBCG(ボストンコンサルティンググループ:引用者注)の駆け出しコンサルタントの頃から、「ロジック」については徹底的に鍛えられました。
しかし、私の二十二年の戦略コンサルタントとしてのキャリアを振り返ってみると、実は、「ロジック」に頼っているコンサルタントは決して一流のコンサルタントではありません。誤解されるかもしれませんが、戦略コンサルタントという仕事の本質は「ロジック」ではありません。むしろ論理思考が邪魔をすることさえあります。(P5)

私も仕事柄、社外のいわゆる「戦略コンサルタント」という人たちと話をすることがよくあります。過去には一緒にプロジェクトに携わったことも何度かあります。

 また、論理思考と並んでよく言われている思考法が、「仮説思考」です。「まず仮説を持ちなさい」とか「仮説を立ててから検証しなさい」などとよく言われますが、これも要注意です。
限られた情報や経験、土地勘しかない人がどんなに頑張っても、ロクな仮説は立てられません。そんな仮説は何の役にも立たないばかりか、かえって、自分の「思い込み」に引っ張られ、素直にものごとを見られなくなる恐れがあります。

このように、戦略コンサルタントの「武器」であるかのように思われている論理思考や仮説思考はけっして万能ではなく、かえって本当に大切なものを見失わせているのではないかと、私は危惧の念を抱いています。

その戦略コンサルタントたちと一緒に仕事をしたときの経験で得られたこと。それはさまざまなコンサルテクニックはもちろんありますが、一番大事なことは、「コンサルは会社ではない。人間でほとんど決まる。」ということです。

それでは、論理思考や仮説思考などよりも大切なものは一体何なんでしょうか。

 

大切なのは「筋の良さ」

 論理思考や仮説思考は戦略コンサルタントが身に付けなければならない基礎のひとつではありますが、それだけで有能な戦略コンサルタントになれるわけではありません。そうした思考法だけで勝負できるのであれば、それを見につけているはずの戦略コンサルタントはすべて一流になっているはずです。
しかし、現実にはそうではありません。戦略コンサルタントといっても、その力量、質の違いは歴然です。
ましてや、普通のビジネスパーソンが、そうした思考法を一生懸命学んだところで、仕事の質が劇的に変わるとは思えません。論理思考や仮説思考といった外形的な思考法自体に価値があるのではないのです。

やはり私が感じていたことと同様です。それでは、戦略コンサルタントは置いておいて、われわれ普通のビジネスパーソンはどのようなことを身につけることが大切なのでしょうか。

 ビジネスパーソンとしての成功にとって、最も重要なのは、「筋の良さ」です。
「筋の良さ」とは、ものごとの本質を看破し、何が最も大切で、適切かを見極めることです。論理思考や仮説思考を踏襲したからといって、「筋の良さ」が手に入る保証はまったくありません。逆に、「ロジック」だ、「仮説」だなどと大上段に振りかざさなくても、「筋の良い」考え方やアイデアを提示し、「筋の良い」議論が出来る人もいます。
「筋の良さ」とは、相手が納得するだけの説得力、現実感、迫力が備わっているかどうか、ということです。

 

感じる、考える、そして伝える

 ビジネスパーソンにとって、勉強の大きな目的は、自分自身の「力を高める」ことです。自分の力が高まれば、自分のやりたいことを達成できる可能性が高まります。自分らしいキャリアを積み、自分らしい人生を歩むことができます。
(中略)
私が二十二年間、戦略コンサルタントとして活躍することができたのは、論理思考や仮説思考が得意だったからではありません。「筋の良さ」を追求し、それを可能とする自分自身の「力を高める」努力を手探りで継続してきたからです。本書でこれから紹介する「現場センサー」や「観察思考法」などは、私が実践してきた「力を高める」ための工夫の一例です。

わたしたちが身に付けなければならない力を3つの力に分けて紹介されています。

「感じる力」「考える力」「伝える力」。

五感で感じ、感受した刺激をもとに考えを深め、それを効果的に相手に伝達する。その一連の力が身に付けば、「筋の良い」思考を行い、人を動かし、事をなすことができるはずです。
この三つの力は有機的につながっていて、総合的に発揮されます。「あいつは力がある」と言われるような場合は、こうした要素の力が統合され、「力のある人間」として映し出されているのです。

1.感じる

現場センサー/主観力

現場を徹底的に観察し、「感じる」力を高める。五感を駆使して、事実に接し、主観を磨く。
観察思考法、アウトプット勉強法

2.考える

 思考の「見える化」

言語化を通じて、「思う」から「考える」へ深める。「箱」から飛び出す思考を心掛ける。
ノート活用法、三年日記、アウト・オブ・ボックス思考法

3.伝える

「ストーリー」の「見える化」

「伝達」や「共有」ではなく、「共感」を生む表現をする力を磨く。「ロジック」ではなく「ストーリー」で勝負する。
共感表現法、本を書く技術

そして、成果・実績へ

 

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本文ではここで挙げられたキーワードについて、それぞれ詳しく実例を交えて説明されています。
興味がある人はぜひ、本書を手にとってください。現場力3部作とともに、常に読み返して心にとめておきたい本のひとつです。

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